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iPad LiDARで土砂堆積量を把握 -排水路メンテナンスにおける3D計測の実用性検証-

アルモニコスでは、1990年代より計測点群やポリゴンメッシュデータを扱うソフトウェアの研究開発を続けてきました。特に計測点群においては、計測精度と分解能は使用する3Dスキャナーの性能に大きく依存します。1,000万円を超える高価格の計測器であれば、0.1mm以下の高精度が得られる一方、数万円クラスの低価格の計測器では、数mm程度の低精度になるのは業界常識になっています。
しかし近年、デバイスの進化は目覚ましく、体積・面積・重心などの大まかな特性値を知りたい場合であれば、LiDAR搭載のスマートフォン等でも十分使える時代になりました。

今回ご紹介するのは、土木、建設業界向けの研究テーマになります。

検証テーマ:排水路内堆積物の効率的な体積算出

排水路などのコンクリート構造物を対象に、障害物(雑草や土砂)の体積計算や、損傷・変形箇所の発見を、計測から分析・確認まで、いかに「簡単に」「速く」できるか検証しました。

  • 計測デバイス:iPad(LiDARスキャナ搭載)
  • 計測アプリ:Sakura3D SCAN
  • 使用するソフトウェア:
    • 検査ソフト spGauge
    • リバースエンジニアリングソフト spScan

計測はiPad LiDARスキャナで行い、計測アプリは、アルモニコス製Sakura3D SCANを使用しています。
計測からデータ処理、そして体積計算に至るまでの一連のワークフローをご紹介します。使用するソフトウェアは、すべてアルモニコス製品です。

検証結果:計測から1時間で現状把握が可能

下表にて、作業時間と使用ソフトウェアを整理しました。現在のソフトウェアの実力では、計測から体積を確認するまでは1時間でした。現在、瞬時に確認できるアプローチを模索中です。

手順時間使用アプリ・ソフト
①iPadでLiDAR測定(画像、動画)5分Sakura3D SCAN
②ポリゴンメッシュのマージ5分spGauge
③ポリゴンメッシュの簡易位置合わせ
④spScanで排水路をリバースCAD面化5分spScan
⑤雑草を誤差カラーマップで可視化表示5分
⑥排水路断面2D寸法5分spGauge
⑦雑草(土砂)のポリゴンメッシュから簡易面(ソリッド)作成30分spScan
⑧雑草(土砂)の簡易面の体積計算5分
合計60分 

測定風景

Sakura3D SCANの画面

複数ショットのマージ・位置合わせ

排水路をCAD面化

雑草を誤差カラーマップ表示

排水路断面

雑草(土砂)のポリゴンメッシュから簡易面作成

体積計算

具体的には、長さ約22mの排水路内部にある、コンクリート構造物上に堆積した土砂・雑草の体積総和は、 3.66m³であることが判明しました。

今回の検証では、測定から体積算出まで1時間となりましたが、このシナリオ通りの専用プログラムを構築することで、作業時間を半分以下まで短縮できる見込みです。

今後の展望:現場の「知りたい」を即座に数値化する

土砂や雑草の体積計算において、厳密な数値は必ずしも必要とされません。数mm~数cm精度のLiDAR計測であっても、現場判断には十分な結果が得られることがわかりました。
土木業界であれば、算出した体積の数値から、4tトラック何杯分かを即座に割り出すことが可能となります。さらに密度情報なども追加できれば、重量の簡易計算なども可能になるかもしれません。

アルモニコスでは、計測データの活用によって解決できる現場課題を今後も研究し、様々な産業に必要とされる技術開発を推進してまいります。

研究担当

iPad LiDARで土砂堆積量を把握 -排水路メンテナンスにおける3D計測の実用性検証-

AXION事業部 劉天陽
2025年、(株)アルモニコス入社。学生時代に日本語教員を目指していたが、新たな自分に出会いたくて入社。AXION事業部にてリバースエンジニアリングソフトspScanの営業を担当。
趣味は読書とアニメ鑑賞。現在も、日本語学の学会誌や専門書を愛読書に。最近は、仕事に関連するCAD、金型の本も対象になり、新しい用語と知識に出会う日々でワクワク!アニメ鑑賞は、子供の頃に見た80~90年代の作品を再鑑賞中。アニメ技術の発展の歴史を楽しんでいる。
写真は、中国河南省、嵩山の麓に広がる世界文化遺産の史跡群を訪問した際の一枚。中心的存在として知られる少林寺にも足を運んだ。

iPad LiDARで土砂堆積量を把握 -排水路メンテナンスにおける3D計測の実用性検証-

AXION事業部 営業部長 山根雅則
元国鉄職員という異色の経歴。国鉄退社後、自動車プレスの業界でプレス成形の業務(金型・製品の検査、プレス成形シミュレーション、非接触測定技術導入推進、ハイテン材成形研究、ホットプレス技術開発など)に従事。アルモニコスの製品検査ソフト「spGauge」、リバースソフト「spScan」、マルチデータ変換ソフト「spGate」の元ユーザー。アルモニコスには2014年入社。現在は、AXION事業部営業部長として、仕様決めから営業、販売、講演まで幅広く担当。
最近、25年前の中古車のスズキジムニーを30万円で購入。ジムニーは今回で3台目になります。掲載している写真は初代ジムニーで、2月に広島から冬の北海道へ旅したときのもの!荷造りの真っ最中で、屋根のスキーキャリアはアルミで自作しました。