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機能

ライカジオシステムズのレーザースキャナーを点群モデリングで比較してみた

ライカジオシステムズ社の3Dレーザースキャナーは、ClassNK-PEERLESSユーザーの皆様も多数保有されていると思います。また、スキャナーの新規導入や買い替え時に必ず候補に挙がるようなメジャーなメーカーです。今回は、同社の『Leica RTC360』、『Leica BLK360 G2』、『Leica BLK2GO』でプラントと弊社社屋をそれぞれスキャンして点群取得し、モデリングして各スキャナーの比較を行いました。
点群モデリングソフト開発会社の視点で、点群の扱いやすさ・モデリングのしやすさを確認しましたので、点群データの導入とモデル化を検討しているお客様の参考になれば幸いです。

スキャナー各製品ページはこちら
・Leica RTC360    https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-rtc360
・Leica BLK360 G2 https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-blk360
・Leica BLK2GO  https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-blk2go

目次

点群の状態の違い

点群の状態について、見た目と視認性、点群の分布という3点から簡単にご紹介します。

1. 見た目
AとBの点群は同じような印象ですが、Cの点群は繊維状となっていることがわかります。

A: Leica RTC360

B: Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

2. データの視認性
Aでは、壁の細かな柄や凹凸、角がはっきりと映っていました。Bも壁の柄や凹凸、角が認識できますが、Aよりぼんやりとした見た目です。Cの点群では、柄や認識できず、外形が把握できる程度でした。

A: Leica RTC360

B: Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

3. 点群の分布

今回は2の画像にあるプレハブの壁部分の点群の断面を比較して説明します。

A>B>C の順に、同一箇所の点群の厚み(ばらつき)が少なくなっています。

4. 他の部分での画像比較

配管・建物
A: Leica RTC360


B: Leica BLK360 G2


C: Leica BLK2GO


詳細に確認すると、Leica RTC360とLeica BLK360 G2の点群データには違いがありますが、ざっくりと見た感じではあまり違いが出ませんでした。Leica BLK2GOの点群データは、見た目に加え、点群の厚みも違いがハッキリと出ました。

自動認識機能でのモデリング比較

配管

配管の自動作成機能を使って自動認識率を比較しました。
※今回使用した機能についてはこちらをご覧ください。


作成条件
・作成する配管径:20mm~500mm

その結果は以下になります。
A: Leica RTC360

B: Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

どのデータも、径の大きい配管は安定してつながった長い配管が作成されています。細い配管になるとデータによって認識率に差が出ることがわかります。
Aでは、配管径の誤認識が少なく、修正箇所も少なかったです。
Bも配管径の誤認識は少ないですが、配管同士が繋がっていないところがAより多く、修正の手数は若干増えました。
Cでは、太い配管(朱色、150A)はしっかりと認識できていますが、それよりも細い管となると繋がっていない箇所や配管径の誤認識が増え、修正が必要な箇所が多くありました。

平面

平面の自動作成機能を使って自動認識率を比較してみました。
※今回使用した機能についてはこちらをご覧ください。

A: Leica RTC360


B: Leica BLK360 G2


C: Leica BLK2GO


どのデータでも平面的な部分が認識されて、建物の形がわかる程度には平面が作成されていました。
点群を表示した状態で見てみると、A、Bは平面部分の点群がほとんど表示されていませんが、Cは平面付近に点群が多く表示されているのがわかります。

ClassNK-PEERLESSでは作成したモデル付近の点群を非表示要素にしていますが、Cで点群が残っているように見えるのは、点群に厚みがあり、点群によってはモデルと離れているためです。

点群とモデルが近い場合

点群とモデルが離れている場合

マニュアル機能でのモデリング比較

配管

配管の作成機能を使って認識率を比較しました。
ClassNK-PEERLESSでは上述の自動認識機能の他に、点群を塗ることで、部材を1つずつ認識させ規格に合った形でモデル作成する機能もあります。直管部分を一部塗るだけで配管を丸ごと1本作成する機能を使って認識させた結果がこちらになります。
※今回使用した機能についてはこちらをご覧ください。

A: Leica RTC360

B: Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

AやBだと径の小さい管も比較的認識しました。
Cでは径の大きい管は認識しやすかったですが、小径管だとうまく認識しないことがありました。(例:サイズが異なる、曲がり部分の手前で認識が止まってしまう)

平面

平面の作成機能を使って社屋の外壁部分に平面を作成してみました。
※今回使用した機能についてはこちらをご覧ください。

A: Leica RTC360

B Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

どのデータでも点群から平面部分を認識できました。
作成した平面で隣り合う外壁面間の角度を見てみました。どのデータでも同じような結果(89度~91度)が表示されていました。

その他

鋼材、ダクト、ケーブルラックも点群からサイズを自動認識させてみました。

A: Leica RTC360

B: Leica BLK360 G2

C: Leica BLK2GO

上記画像からわかるように、どの測定機のデータでも点群からサイズ認識はできます。鋼材に関して、AとBは小さなサイズでも点に合わせて認識しやすかったのですが、Cでは小さいサイズや斜めの鋼材は認識しづらい部分がありました。ダクトはサンプルデータの点群がしっかりと撮れていたので、どの点群でも簡単に認識しました。

全体的な比較

作成時間と完成モデル比較

  • プラントのデータ
  • 完成モデル
    A: Leica RTC360(一部壁、天井非表示)




    B: Leica BLK360 G2(一部壁、天井非表示)




    C: Leica BLK2GO


  • 社屋
  • 完成モデル
    A: Leica RTC360




    B: Leica BLK360 G2




    C: Leica BLK2GO


モデリング担当者所感:扱いやすさについて

今回は、プラントと弊社社屋のデータを使って測定機毎の点群を比較しました。
扱いやすさの点で比較結果を簡単にまとめました。

  • A: Leica RTC360
    • 視認性が最も良く、柄や小さな凹凸まで認識できる
    • 細かいデザインも見やすいので、点群を見ながら形状を作成できる
    • 自動認識機能を使って配管を簡単に作成でき、B・Cと比べると修正も少ない
    • 鋼材の形状も点群から認識しやすい
    • 点群に厚みがほとんどなく、点群に合わせて平面が作成できる
  • B: Leica BLK360 G2
    • 視認性が良く、柄や凹凸もわかる
    • Aと比べると細かいものははっきりと点群で撮れない場合があり、詳細な表現が難しい部分がある
    • 自動認識機能を使って配管を簡単に作成可能
    • 鋼材の形状も点群から認識可能
    • 点群に厚みが少なく、点群なりの平面が作成できているのがわかる
  • C: Leica BLK2GO
    • 視認性がA・Bと比べると低く、柄や凹凸はわかりづらいが、外形の把握は可能
    • A・Bと比べると死角が少なく、まんべんなく測定できている
    • 点群から外形を把握して簡単な形状を作成可能
    • マニュアル機能を使って配管作成が可能
    • 点群に厚みがあるので、A・Bと比べると平面部分で点群との誤差が大きいように見えるが、点群の厚みの中心や密度の高い位置に平面が作成される

まとめ

今回の検証内容や担当者所感を踏まえると、点群モデリングを考えているお客様の中で、次のようなシチュエーションの場合に各スキャナーが適していると考えられます。

  • 点群を扱うことがはじめて、あまり慣れていない
  • 点群計測よりもモデリング業務の負担をなるべく減らしたい
  • 高精度なモデリングをしたい
  • できれば細かい部品まで点群からモデリングしたい

→このような場合は、Leica RTC360 の使用がお勧めです。 

  • 点群を扱うことがはじめて、あまり慣れていない
  • 点群計測とモデリング業務の手軽さ、どちらかというより間をとりたい
  • 高精度なモデリングをしたい

→このような場合は、Leica BLK360 G2 の使用がお勧めです。

  • 点群を見ることにある程度慣れている
  • 点群計測を気軽にしたい、測定場所に長く滞在ができない
  • モノの位置がわかる程度のモデリングで充分

→このような場合は、Leica BLK2GO の使用がお勧めです。 

いかがでしたでしょうか?皆様の参考になりましたら幸いです。
点群モデリング業務やモデリングを前提としたスキャナー選定について、さらに詳しい情報やアドバイスが必要な方はぜひ一度弊社窓口までお問い合わせください。

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