活用例
施工の効率化と精度向上を同時に実現!~年間150トンの配管工事を支える柳本組のBIM/CIM実践~

現場の課題と新たな挑戦
「現場計測に人手がかかりすぎる」「施工図面の作成に時間がかかる」「見積精度をもっと高めたい」
こうした課題は、多くの建設・設備業者が抱えているものです。
年間150トン以上の配管工事を手掛ける株式会社柳本組様も同じ悩みを抱えていました。北海道新幹線函館車両所や食品工場など、大型案件を数多くこなす同社は、2023年に「3D SCAN事業部」を新設。
3Dレーザースキャナーと点群データを活用した新たな取り組みに挑戦しました。
その際に、ClassNK-PEERLESSを導入いただきました。
会社紹介
柳本組様は、プラント・冷暖房・給排水設備などを中心に数多くの実績を誇る配管工事企業です。
長年の施工経験で培った確かな技術力に加え、2023年には3Dスキャナーによる点群データ活用を事業化しました。
従来の施工ノウハウとデジタル技術を融合し、効率的かつ高精度な施工を実現。国交省が推進するBIM/CIM活用の先進的なモデルとして注目されています。

本記事では、3D SCAN事業部における点群データとPEERLESS導入後の効果や、それを支えた業務フロー、さらに柳本組様の今後の展望について、社長の柳本様と3D SCAN事業部の上村様のご協力のもとご紹介します。

導入後の効果
3D SCAN事業部の設立後、同社は「函館競輪場」の配管工事や「函館市芸術ホール」の空調設備工事などにPEERLESSを活用しています。直近では新川下水処理場のモデリング案件でも導入しています。
(点群からモデリングした設備:配管工事)
導入効果は、次の3点に集約されます。
効果① 作業効率の向上:「既設図面作成は従来比10%に短縮」
従来は複数名で繰り返し現場計測を行っていましたが、3Dスキャナー導入により1名・短時間で計測が完了できるようになりました。さらに、PEERLESSで既設部分の図面作成が可能になり、既設部分の図面作成が従来の作業時間の10%になりました。
これにより、現場計測からルート検索・図面作成まで3週間かかっていたのが3、4日に短縮できています。
効果② 見積精度の向上と共有の円滑化:「数量算出機能で精度が上がり、顧客からも “分かりやすい” と好評」
PEERLESSの数量算出機能により、配管や鋼材のサイズ・長さ・数量を自動で計算できます。算出結果はCSVで出力でき、概算見積に直結しています。
「モデルを3Dで共有できるので、顧客との認識が揃いやすく、コミュニケーションがスムーズになった」と高評価を得ています。
- 数量算出機能:作成した配管や鋼材の数量を算出する
- [配管リスト]機能

- [鋼材リスト]機能

- [配管リスト]機能
- 無償Viewer「ClassNK-PEERLESS Viewer」:モデル化したデータを顧客や協力会社と同じ視点で検討できる

(モデリングを実施)
(結果をViewerで閲覧)
効果③ 「既存の3Dソフトでは難しかった作業が、PEERLESSで簡単に実施」
以下のポイントで導入効果がでています。
- 点群をサッとなぞるだけで配管・鋼材がモデリング出来る
- 「補正」をクリックするだけでほぼ点群にあわせられる
- 鋼材では補正の種類が豊富で傾斜などにも合わせやすい
- 規格にない物をモデリングする際、スケッチで自由に曲線などを書く事が出来る
- 今までは後工程では3Dから2Dへ変換後、配管のズレなどを修正する必要があった
PEERLESSの導入によりRebroとの互換性が良くなり、修正する事なく次の作業に進む事が出来るようになった
また、3D→2D→ルート検索→作図の流れがスムーズになり大幅な時短が可能になっている - 点群に沿って自由に線を引く事ができ、ダクトや機器などモデル化出来る部分が大幅に増えた
業務フロー改善とPEERLESSの役割
柳本組様は業務フロー(下表)そのものも改善。特に「2.計画」フェーズにPEERLESSを活用し、次のような成果を実現しています。

まとめ
柳本組様は配管工事の技術力に点群とPEERLESSを組み合わせることで、現場の可視化・効率化・精度向上を実現し、北海道の建設業におけるBIM/CIM活用の先進事例を作り上げています。
その中で業務フローの改善に至り、施工精度と効率を両立した新しい施工スタイルが実現しました。
- 点群から簡単に3Dモデル化し、現場の見える化を実現
- [Around Image]機能で点群と現場画像を360度で照合し、劣化や新設部分を明確化
- CAD未経験者でも直感的に操作でき、協力会社ともViewer共有で同じ視点で検討可能
- [配管リスト]・[鋼材リスト]機能で数量を自動計算し、見積に直結
- 将来の改修・維持管理にも再利用可能なデータ基盤を整備
- [ルート探索]や[動的干渉チェック]により、施工前に干渉や搬入経路を確認
ルート探索の例
動的干渉チェックの例
モデリング機能以外で、特に効果があった機能
・データを保存しておくことで、将来の改修・維持管理でも再利用できる
・現場に行くことなく、PC上で既設構造物に干渉しない配管ルートの設計ができる
・更新作業時の大型重量物の搬入経路を3Dで見える化できる
(点群と3Dモデルを同時表示:下水処理場)
今後の展望
柳本組様は、配管工事などの施工段階だけでなく、将来の改修や維持管理にデータを活用することで、顧客に長期的な価値提供を目指しています。
構造物設計:歴史的建造物や水門ゲートなどもできるように。
維持管理:改修工事を繰り返せるように維持管理を見据えた流れで作業ができるように現場状況を明確化し情報共有しやすい図面を作成し効率化を図る。
現場を撮影した点群
→点群データを基に3D図・2D図化
→保管
→改修の際、保管データを基に検討・図面化
→改修工事
→竣工時、新たに撮影し点群データを基に3D図・2D図化
→保管
さいごに
この事例は、配管工事の確かな技術と、点群+PEERLESSというデジタル活用を融合させた、BIM/CIM実践の先進例ですがいかがでしたでしょうか。
現場の見える化や一連の設計作業の効率化について課題を感じている方にとって、柳本組様の事例は大きなヒントになるはずです。点群データ活用やBIM/CIMの取り組みにご興味があれば、ぜひ弊社へお声がけください。
お客様プロフィール
株式会社柳本組
| 函館営業所 | 〒040-0076 北海道函館市浅野町4-8 ( 代表 ) TEL:0138-85-8100 ( 代表 ) TEL:0138-85-8100 FAX:0138-85-8102 |
| 札幌営業所 | 〒001-0932 北海道札幌市北区新川西二条5丁目7-9 ( 代表 ) TEL:011-788-8670 |
| Webサイト | https://yanamotogumi.com |
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