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機能

NavVis のスキャナーで取得した点群でモデル化してみた

ドイツのNavVis GmbH が開発・販売しているハンディ型のNavVis MLXと、ウェアラブル型のNavVis VLXは、対象範囲の中を歩きながら高精度な点群データを取得できることに定評のある3Dレーザースキャナーです。本記事では点群モデリングソフト開発会社の視点で、NavVis MLX, VLX 3 両方で取得した点群を実際にモデル化してみて、点群の扱いやすさ・モデリングのしやすさを検証していきます。
また、点群データをご提供いただいた構造計画研究所さまより、それぞれのスキャナーについての解説もいただきました。

スキャナー製品ページ
NavVis MLX:https://solutions.kke.co.jp/navvis/products/navvis-mlx/
NavVis VLX 3:https://solutions.kke.co.jp/navvis/products/navvis-vlx-3/
本記事作成にご協力いただきました構造計画研究所さまのページになります。

目次

今回の検証の総評

まず、今回の検証の総評をお伝えすると、「NavVis MLX とNavVis VLX3で取得した点群は、細かく見ていくと若干の違いはあるが、モデリングのしやすさという観点で見るとほとんど違いはない」という結論に収まりました。
また、今回のデータで差異が出た部分に関しては機種の違いというよりも、撮り方の違いが影響していた部分もありました。最後のインタビューでは、その差異を減らすためにどのように計測したら良いかというアドバイスもいただいていますので、ぜひ最後まで本記事をご覧ください。

点群の見た目

NavVis MLXとNavVis VLX 3の点群の見た目について比較しました。

NavVis MLX

NavVis VLX 3

・細かい部分(天井と鋼材の隙間をご覧ください)

NavVis MLX

NavVis VLX 3

・点群の分布

NavVis MLX

NavVis VLX 3

広い範囲を見ると、あまり見た目の違いはありませんでした。
細かいところを確認すると、VLX 3の方が柱の角や天井の隅など細かいところまで点群が撮れており、点群の散らばりが小さくなっておりました。
断面を確認すると、柱や天井などの平面的な部分はMLXでは点群のブレがあり、VLX 3の方がそのブレが少ない状態でした。配管や柵など曲面的な部分は、径が大きい場合はどちらも安定して円形が撮れていましたが、50A以下の径ではMLXは円形にガタつきがあり、VLX 3の方がガタつきが少なく比較的キレイな円形が見られました。(画像の円は、50A/⌀60.5mm 配管の断面)

各要素の自動認識率

配管

完全自動認識機能

配管の自動作成機能を使って自動認識率を比較しました。

作成条件:作成する配管径は60mm~500mm

処理結果は下記になります。

NavVis MLX

NavVis VLX 3

NavVis MLX

NavVis VLX 3

どちらのデータでも、太い配管に関しては長くつながった状態で配管が作成されているのがわかります。50Aの配管ではNavVis VLX 3の点群の方が認識率が高く、綺麗に作成されていました。つながっていない部分の修正はありますが、配管径の誤認識はどちらもほとんど見られませんでした。

半自動認識機能

直管部分の点群を一部選択すると、その直管とつながった配管を丸ごと1本自動で作成する機能を使って、認識率を比較しました。

NavVis MLX

NavVis VLX 3

どちらのデータでもあまり違いはなく、どちらのデータでも50Aまでの細さであればつながった長い管を作成できました。さらに細い配管となると、うまく認識されず配管径が異なる・途中で止まってしまうこともありました。ただ、これは固定式のスキャナーの場合でも起こる現象です。

手動認識機能

直管部分の配管を塗って直管モデルを作成し、結合機能を使ってつなげてみました。

NavVis MLX

NavVis VLX 3

どちらのデータでも基本的に配管の円周のほとんどの点群が撮れているため、うまく認識されて配管径の修正が少なかったです。
※今回使用した機能についてはこちらをご覧ください。

鋼材

NavVis MLX

NavVis VLX 3

点群の塗る箇所によって認識の差はありましたが、どちらのデータでも点群に合ったサイズで認識され、作成できました。

その他細かいもの

手すり、柵

NavVis MLX

NavVis VLX 3

柵や手すりは配管作成機能を使って簡単に表現しています。どちらの点群でも同じように作成できました。柵は同じサイズのものが複数並んでいるため、1つ作成して他はコピーで作成しました。

フランジ、バルブ

NavVis MLX

NavVis VLX 3

フランジやバルブはマニュアル機能で点群を見ながら作成するため、どちらの点群でも同じように作成できます。

モデル化結果

今回は、点群データの質や認識率にあまり違いがなかったため、VLX 3の点群の一部エリアでモデル化を行いました。(一部天井・鋼材非表示)
天井の照明や全ての手すり、細かいところまで作りこんだ場合は計35時間、もう少し大まかに全体的にモデリングする場合は20時間程度で作業が可能です。

モデリング担当者所感

モデリングする前の印象としては、他のSLAMの点群に比べて、ノイズが少なく点群も厚みがなく、現況がわかりやすい点群だったので、モデリングしやすそうに感じました。モデリングは、想定以上に配管の半自動作成機能や鋼材作成機能の認識精度が高く、非常にスムーズに作業を進めることができました。一方で、細い手すりなどは自動認識が難しく、手動での作成が必要です。しかし、他のSLAMデータと比べれば手動機能でも形状を捉えやすかったため、コピー機能を活用することで効率的に作成できました。

結果を踏まえて構造計画研究所さまへインタビュー

今回はハンディ型のNavVis MLXとウェアラブル型のNavVis VLX 3でそれぞれ取得した点群データをモデリングという観点で比較させていただきました。

アルモニコス:ハンディ型のMLXのほうが、手元がブレることを考えると、点群のノイズが増えたり面が二重になるなど、質が低くなることを予想していたのですが、今回の点群ではあまり違いがなかったので驚いています。これは、測定方法や点群編集の内容によるものなのでしょうか?

構造計画研究所さま:VLX3・MLXともに、スキャン時に「手元がブレる」ことによってそのような点群の質が落ちることはございません。 NavVis MLXはハンディ型とはいえ、ハーネスに固定した姿勢を基本とし、またLiDARの軸は固定されているため、安定したSLAMを実現しております。今回のデータでは、MLXをハンディ的に動かす際、移動時と同じ速度で動かしましたが、特別な工夫を取り入れたわけではございません。
また、お渡しした点群データは、スキャンデータをNavVisのクラウド解析ソフト(NavVis IVION Processing)で自動処理し、その結果をダウンロードしたものです。手動でのお掃除といった加工は一切加えておりません。

アルモニコス手元のブレを気にせず移動計測できてここまで綺麗な点群が取れるのは、測定者側も緊張せず作業出来て良いですね。ちなみに、「点群の見た目」の章で、点群の分布を確認した際、VLX 3の方が柱の角や天井の隅など細かいところまで点群が撮れており、点群の散らばりが小さくなっておりましたが、こちらは性能ではなく測定範囲の違いによるものでしょうか?

構造計画研究所さま:はい、ご認識の通りです。
点群密度を上げるためには、「搭載されているLiDARセンサーの台数 (MLXは1つ、VLX 3は2つ)」と「レーザーの照射範囲」を意識したスキャンが必要です(下図参照)

VLX 3は、垂直方向(上下左右)と水平方向にそれぞれ照射する2台のLiDARを搭載しているため、歩いていくだけで上下左右の点群を取得することができます。

一方、MLXのハーネスに固定した基本姿勢においては斜めにレーザーが照射されるため、例えば上部の配管は後方に飛んでいくレーザーでセンシングすることになります。
そのため、MLXで上部の配管の点群を密に取得するには、本体を前方に倒した前傾姿勢を取り、レーザーが上下に照射するような工夫が必要となります。ただし、前傾姿勢でスキャンすると、レーザーが前後に照射されなくなるため、前後の移動量をセンシングできなくなり、SLAMが不安定となります。前傾姿勢を取るときは、SLAMが安定している環境に限り、例えば 立ち止まるなど、計測の工夫が必要です。
今回のデータの計測でも、もう少し前傾姿勢のスキャンを行えばVLXと違いなく点群取得ができたかもしれません。

VLX 3は前述の通り、広い範囲を同時にカバーできるため、天井の隅や柱のエッジといった細部まで点群を取得しやすい特性があります。一方MLXは単一のLiDARセンサーのため、スキャンで取得できる範囲が相対的に限定されます。そのため、同様の精度で細部を取得するには、スキャン経路や測定方法に工夫が必要です。 このようなカバレッジの違いにより、VLX 3のほうが細部において点群の密度が高く、点群密度のばらつきの少ないデータとなる傾向があります。

アルモニコス:なるほど!図で見ると、それぞれのレーザーの照射範囲がわかりやすいですね!これを意識してスキャンすれば、意図通りの点群を取得できそうです。
環境に合わせて機種を選択することも重要ですね。例えば、VLX 3は広い範囲を撮るのに向いているので、プラントや工場など大規模な範囲を計測したいとき、MLXは同様の場所でも計測範囲が狭い場合であったり、キャットウォークの上など身体に負担が無いように撮りたい時とか、、

構造計画研究所さま:はい、その通りです。各機種にはそれぞれ特長があり、対象となる環境の規模や特性に応じて使い分けることが重要です。
VLX 3は、広範囲かつ複雑な環境での計測に適しています。プラント設備や屋外環境などの大規模空間において、2つのLiDARセンサーによる広い視野を活かし、効率的かつ網羅的にデータを取得できる点が特長です。短時間で広い範囲をカバーしたいケースに特に適しています。
MLXはコンパクトで取り回しに優れており、狭所やアクセスが難しい場所での計測に適しています。 設備の裏側や天井裏、機械室などの限られた空間においても柔軟に対応でき、細部のデータ取得に強みがあります。

このように、VLX 3は広範囲の計測、MLXは狭所や細部の計測といった形で使い分けるのが効果的です。両方のデバイスを導入し、VLX 3で全体を取得し、MLXで細部や不足部分を補完することで、より完成度の高い点群データを取得することも可能です。

アルモニコス:2つの違いがよくわかりました。最後に、今回のPEERLESSでのモデリング検証の結果はいかがでしょうか?率直な感想を教えてくださ い。

構造計画研究所さま:今回のモデリング結果により、MLXよりもVLX 3の点群データの方が配管系の認識率が高いことを改めて確認できました。今回、配管が入り組んでいる複雑なエリアにおいて、ハンディ型の特性を活かして配管の裏側まで点群取得できるようスキャンしました。しかし、このアプローチは実際のモデリングにおいて認識率に大きく寄与せず、むしろSLAMの累積誤差による点のバラつきを抑える計測方法がモデリングにおいて重要であることを今回の検証で学ぶことができました。高精度の点群データを取得できるNavVisとPEERLESSの自動認識機能の親和性は高いのではないかと考えます。NavVisとPEERLESSを併用してご利用いただくことによって作業者のモデリング工数削減のお役に立てることができれば弊社としても嬉しい限りです。

tag : モデリング レーザースキャナ データ連携 誤差評価